WashingtonDC同時代記
Aki Naganuma(長沼亜紀) ジョージワシントン大学院国際関係修士課程修了。北海道新聞社記者を経て、現在、日本の新聞社のワシントン支局現地スタッフ。取材の中で気がついたこと学んだことを随時紹介します。naganuma_washdc@yahoo.co.jp
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イラク戦争目次
・イラク撤退時期盛り込んだ法案が上下院で可決(4/29/07)

「開戦前に、イラクの脅威について真剣な議論はなかった」ジョージ・テネット元CIA長官が、回顧録で批判(4/29/07)

・「我々はヒーローではない」ジェシカ・リンチとパット・ティルマンの遺族が、軍による英雄伝の捏造を批判(4/29/07)


・砕け散った人生:サムの場合(4/4/07)

民主党のイラク撤退タイムテーブル提案に、ブッシュは拒否権を示唆 (3/9/07 WP)

長引く戦争、家庭崩壊の危機 (2/23/07 NYT)

Democrats seek to repeal 2002 war authorization (2/23/07 WP)

National Guard may undertake Iraq duty early (2/22 /07 NYT)


ブレア、英軍のイラク撤退発表へ(2/21/07)

・年配新兵のドロップ・アウト率が高い
(2/20/07 Today)


戦争決議:戦争をめぐる立法府と行政府の憲法上の権限をめぐる衝突が起きるのは避けられるか? (2/16/07 WP)

・ブッシュ、アフガニスタンに米軍増派継続を発表
(2/16/07 WP)


・イラン介入の証拠(2/12/07 WP)

・外交官はイラクがお嫌い(2/8/07 NYT)

・なぜ失敗したか、責任の擦り付け合い:ブレマー前暫定占領当局代表の公聴会(2/8/07 WP)

・ペトレアス・カード:将軍がブッシュに代わり新戦略売り込み(2/7/07 WP)

・消えた復興資金120億ドル(2/7/07 NYT)

・期待通りには進まないイラク軍の訓練(2/6/07 Today)

・パット・ティルマンと彼が象徴するアメリカ人

・いまのコースを続けるしかない。選択肢はほかにない

・ケーシー将軍とハリザート大使の記者会見
コウルドウェル将軍バクダット攻勢の失敗認める

・イラク政策の変更を求める圧力、日に日に増加

・市民の犠牲者は推定60万人

・Backing policy, president issues terror estimate: Increase of Jihardists
is seen (9/27/06 NYT)

・Most Iraqis favor immediate US pullout, polls show (9/27/06 WP)
National Guardについて
Marine Called Haditha Shootings Appropriate(8/24/06 WP)

・Officer called Haditha Routine; Marine said Deaths didn’t Merit Inquiry(8/19/06
WP)

イラク戦争
イラク撤退時期盛り込んだ法案が上下院で可決 
(2007年4月29日作成)

イラク駐留米軍の撤退時期を盛り込んだ戦費の補正予算案が4月25日、米下院を、26日には上院を通過した。ブッシュ大統領は、拒否権の発動を明言しており、戦争の方向性を巡り民主党与党の議会と、大統領の対立が激しさを増している。

法案は、イラク・アフガニスタン戦争の戦費950億ドルを含む1240億ドルの補正予算に加え、①イラク政府が治安回復、政治和解などの目標を達成しない場合、7月1日までに撤退を開始し、その後6ヶ月以内に撤退を完了する、②イラク政府が目標を達成した場合、10月1日までに撤退を開始、6ヶ月以内に撤退を完了することを求めている。

下院は賛成218票(民主党216票、共和党2票)反対208票(民主党13票、共和党195票)で、上院は賛成51票(民主党48票、独立1票、共和党2票)反対46票(民主党0票、独立1票、共和党45票)で可決した。いずれも、大統領が署名を拒否した場合、それを覆して法案を成立させるために必要な3分2以上の賛成がないため、この法案は国民の苛立ちを伝える象徴以上の意味は持たないが、ブッシュ政権がさらに苦しい立場に追い込まれるのは必至だ。

上院の法案可決直後のホワイトハウスの記者会見では、ダナ・ペリノ報道官は政権が国民の声をどう受け止めているかついての厳しい追及を受けた。CBSのジム・アクセルロード記者が、約64%が撤退期の限設定を望んでいるというCBSとNBC・ウォールストリートジャーナルの世論調査への反応を求めると、ペリノ報道官は「米国民が、戦争に疲れ、不安、苛立ちを感じ、撤退を望んでいるのは理解している。しかし、大統領は最高指令官として、イラクの政治和解に必要な機会を与えずには撤退しないという原則に立って政策を決定している。大統領はどうすれば人気を得られるか知っているが、世論調査の上がり下がりに基づいて政策を変えたりしない」と述べた。さらにアクセルロード記者が「人気の有無が問題ではなく、国民は政策の方向性に懸念を抱いており、大統領の政策と国民の意見の隔たりは拡大するばかりではないか」と訊ねると、「早期撤退が賢明な政策でないと信じているのは大統領だけではない。(イラク駐留米軍最高指令官)ペトレイヤス将軍、イラク研究グループ、National Security Estimate(情報機関による年次報告書)も同意見である」とペリノ報道官は切り替えした。

ブッシュ政権は、今年2月にイラク情勢を打開しようと米兵の増派を発表、少しでも治安を回復し、イラク・マリキ政権が政治課題に取り組む“Breathing space”を与えようとした。増派の成果が出るまで時間を稼ぎたいブッシュ政権は、議会の票決を前に、ペトレイヤス将軍を急遽バクダッドからワシントンに呼び寄せ、議員への説明に当たらせた。ペトレイヤス将軍は、宗派対立による殺人は1月と比べ3分2減少したが、全体としては暴力の鎮圧には至っておらず、イラク治安部隊の育成も進行中であるとした上で、「米兵を秋までに減らせば、宗派間の武力衝突はさらに激しくなるだろう」と警告した。

解決の鍵は、本質的にはすべてマリキ政権にかかっているが、状況は芳しくない。当面の最重要政治課題は、①石油収入の分配に関する法律の成立、②旧バース党員(スンニ派)の追放政策の改善、③地方選挙の実施だが、マリキ政権の政治基盤は弱まりばかり、議会は派閥に分断され、米政府への不信も深まっている。情勢が今後改善すると信じるにたる根拠は乏しく、米軍は嵌った泥沼にさらに深くゆっくりと沈んでいく可能性が高い。

参考:
Senate sends war timetable to Bush’s desk: As funding Bill heads to likely veto, talks on revised legislation begin, April 27, 2007, WP.
US commanders says fall pullback in Iraq would lead to more sectarian killings, April 27, 2007, NYT.
Baghdad’s fissures and mistrust keep political goals out of reach, April 26, 2007, WP.
War bill passes House, requiring an Iraq pullout, April 26, 2007, NYT.


「開戦前に、イラクの脅威について真剣な議論はなかった」
ジョージ・テネット元CIA長官が、回顧録で批判 

(2007年4月29日作成)

9・11とイラク戦争開戦時にCIA長官だったジョージ・テネットが、近く出版する『At the Center of the Storm』(HarperCollins 2007年5月 549ページ)の中で、イラクの脅威について、開戦前に政権内で真剣な議論はなかったと述べ、チェイニー副大統領らのイラク戦争の遂行を批判した。同書は政権内部からみた9・11への対応とイラク戦争開戦の政策決定過程を詳細に記した最初の回顧録として注目されている。

テネットは、「私が知る限りイラクの脅威が差し迫ったものであるかについて政権内で真剣な議論はなかった」とし、さらにイラクに侵攻せずに封じ込める可能性についても「真剣な議論はなかった」と書いている。

1997年から2004年までCIA長官を務めたテネットは、2001年後半から2002年にかけてCIAは的をアルカイダに絞っていたが、チェイニー副大統領や当時のポール・ウォルフォウィツ、ダグラス・フェイスら国防省幹部は、イラクに焦点を合わせていた。2002年のNational Intelligence Estimateが、イラクの大量破壊兵器について誤った分析をした責任を認めつつも、「当時は、サダム・フセインが非通常兵器を持っていることを信じて疑わなかった」と書いている。

イラクが大量破壊兵器を持っている証拠について「slam dunk」とテネットが述べたとされる有名な発言については、文脈を無視して使われたと主張、CIAとテネットは政権の責任の擦り付け合いのスケープゴードにされたと述べている。

参考:
Ex-CIA Chief, in book, assails Cheney on Iraq, April 27, 2007, NYT.


「我々はヒーローではない」: ジェシカ・リンチとパット・ティルマンの遺族が、軍による英雄伝の捏造を批判
(2007年4月29日作成)

戦場からの感動的な救出劇で知られ、勇敢に戦った英雄とされたジェシカ・リンチ上等兵と、元フットボールスターで陸軍特殊部隊に所属し、アフガニスタンで友軍誤射で死亡したパット・ティルマン伍長の遺族が4月24日、下院政府改革委員会で証言に立ち、軍が事実をねじ曲げた英雄伝を作り上げ、戦争鼓舞のための宣伝に利用したとして批判した。

リンチ上等兵は「地方出身の小さな女性ランボーが勇敢に戦ったという英雄伝」は真実ではないとし、「本当のヒーローは私の部隊にいたほかの仲間だったのに、なぜ軍が私の武勇伝を仕立て、虚偽の情報をながしたのか今でも理解できない」と証言した。2003年イラク開戦初期、所属部隊が奇襲攻撃を受けた際、軍は当初、リンチ上等兵が捕虜になる直前まで勇敢に銃を撃ち続けたと発表していた。イラク人の手引きによる感動的な救出劇が話題を呼び、テレビ映画も作られたが、のちに、彼女は一発も銃を発砲しておらず、また救出劇の詳細の真偽もあいまいなことが明らかになった。

一方、ティルマン伍長は、元アリゾナ・カーディナルズのクゥオーター・バックで、9・11後陸軍に入隊、特殊部隊に所属し、アフガニスタンに派遣され、戦闘中に死亡した。当初、敵との交戦による戦死として家族やメディアに伝えられたが、のちに友軍誤射であるとの疑惑が持ち上がり.、軍による調査の結果、誤射であったことが確認された。どの時点で情報のカバーアップが行われ、ラムズフェルド元国防長官を含め軍高官がどこまで関わっていたかが、問題となっている。ティルマン伍長の弟で、同じく陸軍特殊部隊に所属していたケビン・ティルマンは、この日「イラク戦争への支持拡大にマイナスな悲劇は、逆に戦争を支える感動的なメッセージに変えられてしまった」と証言した。

証言には、パット・ティルマンと一緒にいたブライアン・オニール技術兵も出廷し、オニール技術兵はすぐに誤射であると気が付き、同じ小隊にいたケビンに伝えようとしたが、上官から「何が起きたが話さないように命令された」と述べた。また、ティルマンのシルバー・スター勲章受賞のための推薦状の中で、「敵と交戦中に」との下りは、オニール自身は書いていないとも証言した。

参考:
Panel hears about falsehoods in 2 wartime incidents, April 25, 2007, NYT.


砕け散った人生:サムの場合(4/7/07)

“I came home a hero and now I’m a bum.”

 地方の貧しい家庭出身の青年たちにとって、軍に入ることは寂れた町を抜け出し、未来を切り開く数少ない選択肢である。しかし、イラクの砂漠で視力、左足、片方の聴力を失い、絶望と酒と薬の泥沼におぼれ、自殺未遂を繰り返している24歳の青年サム・ロスの砕け散った人生への夢を想うと、切ない気持ちになる。
(引用含めすべてニューヨーク・タイムズ”Injured in Iraq, a soldier is shattered at home” April 5, 2007より)

***

 ペンシルニア州ダンバーは、かつて炭鉱で栄えたがいまや州内でも最貧地域の一つファイェット郡にある小さな町だ。2003年の夏の終わり、同町出身、イラク戦争で負傷しパープル・ハート勲章を受章して帰還したサム・ロス元米陸軍上等兵のために、盛大なパレードが行われた。沿道には何百もの旗がはためき、地元の高校のマーチングバンドが演奏し、ジープに乗ったサムは「英雄」として熱狂的な歓迎を受けた。しかし4年後の今、サムは、殺人未遂、暴行、放火の疑いで逮捕され、精神病院にいる。

 サムはもともと、ブルースの歌詞にでてきそうな悲惨な家庭で育った。両親の間に争いが絶えず、時に銃が持ち出されるほど。母親は家族を捨て、その後やってきた後妻を父親が殺害、父親は無期懲役で刑務所に服役している。サムは祖父に引き取られたが、その関係も難しいものだった。2001年6月に高校を卒業したサムは、大学に進学する金がなかった。ダンバーの町にいても将来はないと感じ、そこから抜け出す方法を探していたある日、陸軍の入隊募集広告に気がついた。翌日ショッピングモールに出かけ即契約書類に署名し、combat engineerに登録、入隊ボーナスの3千ドル(約30万円)を受け取った。

 陸軍はサムにピッタリだった。「陸軍に入るために生まれてきたような気がした。規律と冒険を求めていたし、愛国的で、部隊の仲間との絆も強く感じた」とサム。2003年初頭、イラク侵攻開始前にクェート派遣され、弾薬処理部隊の一員として3月にバクダットに入城した。そして5月18日、作戦の手順に従って、穴に弾薬を集めているときに、なぜかそれらが爆発し、サムはゴムまりのように吹き飛ばされた。

 昏睡状態でイラクからワシントンDCにあるウォルターリード陸軍病院に運ばれたサムは、体中に飛び散った金属片を取り除くために、何度も手術を繰り返した。1ヵ月後ようやく人工呼吸器が外され、失明し、左足がひざ下からなくなっていることを知ったサムは、何日も泣き続けたという。まだ20歳だった。

 治療が一段落し、故郷ダンバーに戻り、パレードでの歓迎を受けてしばらくは、明るい気持ちがしばらく続き、将来のことを考えてなんでも挑戦できる気がしたが、すぐにそれは陰鬱な絶望に変わった。外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder=PTSD)で精神的に不安的になり、また体内に残った金属片のせいで痛みが消えない。釣りが大好きだったサムは気晴らしに釣りを始めようとしたが、水の中でバランスを崩し、竿をなげることさえできないことに気がついた。道具を捨て、船は売ってしまった。点字を習おうとしたが、後遺症で指の感覚がにぶく読むことができないと途中であきらめた。退役軍人の精神病院が訪問治療を薦めたが、これを断った。

 サムは次第に引きこもるようになり、親戚や友人と争うようになった。負傷に対して政府から支払われた10万ドル(約1千万円)と地元ボランティアの協力で自宅を建てたが、ガールフレンドと別れ、孤独は深まり、酒や薬に頼るようになり、繰り返し自殺を図るようになった。

 そして今年2月、叔父がPTSDの治療を受けるようにようやくサムを説得した矢先、酒に酔ったサムは、親戚が住むトレイラーハウスに火をつけ、駆けつけた消防士の首を絞め、逮捕された。郡拘置所のシーツで首吊り自殺を図り、今は州の精神病院にいる。サムは、病院を訪れた記者に“I came home a hero and now I’m a bum.(英雄として帰郷し、いまや浮浪者さ)”と自嘲した。

***

 マイケル・ムーア監督の映画「華氏9・11」の中で、軍のリクルーターが、ショッピングモールをぶらついている青年たちに入隊を勧誘する場面があった。ファースト・フード・レストランの店員ぐらいしか就職先がない田舎町では、高校卒業したばかりの青年たちには、モールでたむろうくらいしかやることがない。軍に入れば、町を抜け出し、技術を身につけ、世界をみることができ、うまくいけば大学進学もかなうかもしれないと聞けば、心は動く。サムもそんな青年の一人だったのだろう。

 「負傷したのはサムだけじゃない。サムのような青年はほかにもたくさんいる。もしサムが負傷し、失明したことをきちんと受け止めていたなら、状況は違っただろう」とサムの祖父は言う。確かに、戦争で体と心に傷を負っても、家族や周囲の助けを受けながら、人生を前進させている例はたくさんある。しかし、サムの人生に降りかかった苦難の重さを思うと、彼の責める気にはとてもなれない。「この戦争がイラクに民主主義をもたらすという高邁な目的のものならば、なぜその名誉と負担を国民全体で分かち合わないのか」と、徴兵制再開を求める人もいる。実際には、徴兵制は非現実的だ。それでも大学進学や職業の選択肢がある裕福な家庭出身の師弟たちと、サムが自ら未来を切り開こうとして支払った代価を比べるとき、戦争はごく一部の人に過剰な負担を強いていると思わざると得ない。サムは24歳である。この後の人生をどのように生きていくのだろうか。

Dyfying Bush, Senate passes Iraq spending measeure calling for pullout of US tropps
(NYT 3/30/07)

民主党のイラク撤退タイムテーブル提案に、ブッシュは拒否権を示唆

Bush threatens to veto Democrat’s Iraq plan (3/9/07 WP)
下院民主党が3月8日、今年末米軍撤退開始と2008年8月31日までの戦闘任務終了のタイムテーブルをつけた支出法案を提案。これに対し、ブッシュ政権は法案が通過した場合は拒否権発動を示唆。一方、上院民主党は2002年決議で大統領に与えた権限の限定を図る決議を提案。ただし、いずれの動きも先行きは不透明。不人気な戦争にもかかわらず、共和党はまとまっている。

長引く戦争、家庭崩壊の危機

Long Iraq tours can make home a trying front (2/23/07 NYT)
イラク派遣の影響で、家庭崩壊の危機に直面している家族がかなりいる。一人で6人の子供を育てている母親や、浮気、離婚など。戦争に関わっているのは140万人、アメリカの人口の1%以下。だからベトナム戦争のころのような社会全体で負担を感じているのではなく、このため、兵士の家族の孤立はさらに深い。また予備役は、現役のような手厚い家族サポートがないため、さらに家族の負担は大きい。

Democrats seek to repeal 2002 war authorization (2/23/07 WP)

National Guard may undertake Iraq duty early; 14,000 face hastened returnsfor Bush plan (2/22 /07 NYT)

ブレア、英軍のイラク撤退発表へ

ブレア、イラク南部バスラにいる英軍を1600人削減すると発表へ。この結果7100人から5500人に減る。
(実際に発表されたプランでは夏までに2100人を削減するとの内容)増派する米軍とは対照的。イギリスは「イラク軍が任務をこなせるようになったので移管する」と説明、WHも「成功のしるし」と述べているが、実際にはブッシュ政権にとって痛手であるのは間違いない。バスラはイラク第二の都市で、人口の大半はシーア派で、バクダット、アンバー州のような治安悪化は起きていない。英軍は3年前は8500人イラクに派遣していた。英軍のイラクでの死者が132人。今年中に辞任するブレア首相が、少なくとも限定的ではあるがイラクは成功したと主張するための象徴的な意味での撤退表明だと見られている。ブレアは2月20日、ブッシュとビデオ会談し、この方針を伝えた。WH国家安全保障会議のゴードン・ジョンドロー報道官は「President Bush sees this as a sign of success and what if possible for us once we help the Iraqis deal with the sectarian violence in Baghdad」と述べた。
Blair to bring home 1,600 troops from Iraq (2/21/07 FT)
Britain cutting its force in Iraq (2/21/07 Today)

年配新兵のドロップ・アウト率が高い

Older recruits are finding less success in Army (2/20/07 Today)
陸軍新兵採用の年齢制限が35歳から42歳になったのは2006年。この結果、35歳以上の635人を採用したが、健康、体力面の基準を満たすことができない人が多く、ドロップ・アウト率は11.4%だった。(全体は6.5%)ブッシュ大統領が昨年末に提案した軍隊規模の拡大で、今年は陸軍は昨年より7000人多い、8万7千人を採用しなければならない。まさに陸軍は”every able body that it can find”を獲得しなければならない状況だ。

戦争決議

2/16日、下院が拘束力のないイラク増派反対決議を可決。
2/17日、上院は異例の土曜日審議開催で、下院と同じイラク増派反対決議を通そうとしたが、4票不足で可決できず。

戦争決議:戦争をめぐる立法府と行政府の憲法上の権限をめぐる衝突が起きるのは避けられるか?
Bush, Congress could face confrontation on issue of war powers (2/16/07 WP)
大統領には最高指令官として戦争を遂行する権限(派遣、訓練も)があるが、議会は、派遣を抑えたりする権限はあるのか?議会は戦争予算に条件をつけようとしている。元Assistant Attorney GeneralのWalter E. Dellingerの意見:この程度なら大統領の権限への介入には当たらない。議会に戦争へ予算を付けないとは、戦争を停止する権限がある点では論争はほとんどないが、問題はそうすることが賢明かどうかということ。

ブッシュ、アフガニスタンに米軍増派継続を発表
Bush promises strong effort to counter resurgent Taliban: US to extend troop increase in Afghanistan, take fight to enemy forces before their spring offensive (2/16/07 WP)
「対テロ戦争」と題したAEIでの演説で、ブッシュ大統領は、アフガニスタンについえ一時的に増派していた米兵3200人を”foreseeable future”継続して送ることを発表。さらに議会に対し、訓練の促進、復興、対麻薬対策として118億ドルを拠出するように求めた。ブッシュがアフガン戦争に中心に演説を行ったのは、2期目が始まってから初めてのこと。アフガン政府軍や連合軍へのタリバンによる攻撃回数が増えている。WHによると、昨夏に政策見直しを始め、12月にもっと兵、金、外交が必要との結論にたどり着いた。この118億ドルは2月5日にWHが発表した予算に含まれている。NATO軍:まもなくアフガンを離れるフランス特殊部隊を除き、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、トルコからの軍は、どこでどのように行動するかに政治的制限がついており、戦闘には参加していない。ブッシュはこの制限を外すよう求めている。
ブッシュ政権はアフガニスタンの問題の奥深さを過小評価していると批判するのは、CSISのAnthony Cordesman。「アフガンで勝利するには五年から十年かかるだろう」。
麻薬の問題;2006年にアフガンの大麻生産は前年比26%増の記録的増産を記録した。国連と世銀の報告書は、アフガン警察がしばしば麻薬取引に関わっていると指摘している。

イラン介入の証拠
Military ties Iran to Arms in Iraq: Explosives supplied to Shiite militias, US officials say
(2/12/07 WP)

外交官はイラクがお嫌い
You want me to go where? Few veteran diplomats accept mission to Iraq
(2/8/07 NYT)

なぜ失敗したか、責任の擦り付け合い:ブレマー前暫定占領当局代表の公聴会
Back on Capital Hill, Bremer is facing a cooler reception:
Republicans to join Democrats in criticizing decisions in Iraq
(2/8/07 WP)

ペトレアス・カード:将軍がブッシュに代わり新戦略売り込み
General is front man for Bush’s Iraq plan
(2/7/07 WP)
今週イラクに発つペトレアス将軍、本国での最後の仕事として議会を訪ねた。上院がブッシュの増派について討議を始めようというとき、議場にいた野党院内総務のミッチ・マコーネルは、声をかけられ、ペトレアスに会うようにうながされた。そしてペトレアスが、彼に個人的に彼の戦況分析と彼が21500人をどう使おうとしているかについて説明した。ホワイトハウスは、ペトレアスを承認(1月26日に81対0で承認。白紙投票はあった)しておきながら、彼の戦略を支持しないのはおかしいと主張している。最悪の情勢にあるホワイトハウスにとってペトレアスは、増派反対決議をかわすための唯一の札となっている。チェイニーとゲイツは決議はテロリストを増長させることになると非難しているが、ブッシュは、直接はこの問題に介入せず、2月2日に共和党上院議員と会談したときも、自分の立場を説明したものの、「自分が正しいと思うことをすればいい。次の日は私はあなたの友人だ」と述べたという。将軍が承認の前に議員と会うことはよくあることだが、承認後も会いに行くのは珍しい。ホワイトハウスは調整していないとしている。

消えた復興資金120億ドル 
House panel questions monitoring of cash shipped to Iraq
(2/7/07 NYT)
イラク侵攻後の2003年5月から2004年6月までの間に120億ドルの現金、多くはパッケージされた100ドル札の束(重さにすると360トン。軍のC130が輸送した)の管理がずさんだったと、下院行政改革委員会で公表された報告書。批判の矢面にたったポール・ブレマー前暫定占領当局代表は、イラクには銀行システムが機能しておらず、イラクに現金で支払う(多くはイラクの石油の販売による金)しかなかったと反論した。これらの現金がイラク到着後、どうなったかはわからなくなっており、これが武装勢力にわたった恐れも否定できない。「まとも人が戦場に360トンもの現金を送るだろうか。しかし、まさに我々の政府はそれをやったのだ」とヘンリー・ワックスマン議員。

期待通りには進まないイラク軍の訓練
U.S. advisers find joint patrols with Iraqis don’t go as planned: Both sides are learning to work as a team, but Iraqis are sometimes reluctant to take the lead
(2/6/07 Today)

パット・ティルマンと彼が象徴するアメリカ人
(10/24/06作成)
ナショナル・フットボール・リーグ「アリゾナ・カーディナルズ」のパット・ティルマンは、9・11に反応して2002年春に陸軍に志願、イラク自由作戦に参加、その後レンジャー部隊に入り、アフガニスタンに送られ、そこで友軍誤射で死亡した。パットは、 2001年9月12日のインタビューで、世界で起きていることに比べればフットボールは「馬鹿らしく」見えるとし、「この様なときには、我々がどんなに恵まれているかというだけでなく、どのようなシステムのもとに暮らしているかと深く考える」「祖父は真珠湾にいたし、家族は戦争を戦ってきた。自分はそうしたことをしていない」と述べた。彼の戦死については、当初は誤射であったことが隠蔽されたとの疑いがあり、国防省が調査中。パットの弟ケビンも、パットとともにイラク、アフガンに従軍、除隊し、最近まで沈黙を守ってきたが、Truthdig.comでイラク戦争、ブッシュ政権を批判する手記を載せた。
Pat Tillman’s brother blasts Iraq war, Bush (10/23/06 AP)

いまのコースを続けるしかない。選択肢はほかにない
・ バクダットの治安が落ち着けば、それは他の地域に広がるし、バクダットで失敗すれば、それは全体での失敗を意味する。戦禍に裂かれたベイルートになるか。バクダットが落ち着かない限り、次に進めない
・ バクダット攻勢「Together Forward II」は、当初は米軍がクリアしたあとをイラク警察が引き継ぐ予定だった。しかし、イラク警察の数も訓練も任務への忠誠度にも問題があり、空白は結局、民兵に埋められてしまうことになっている。
・ アメリカは、民兵の解体をマリキ政権に要求しているが、スンニ派武装勢力が政府の言うことを聞くようになるまで、マリキ政権は積極的に進めるつもりはない。
To Stand or fall in Baghdad: For American Commanders, this is it (10/23/06 NYT)

ケーシー将軍とハリザート大使の記者会見
・ マリキ政権は7月に掲げたマイルストーンを実行するといっている。イラクの成功は可能だ。イラク警察、治安部隊が自立するようになるには12-18ヶ月。(会見は、ESTで朝7時!)

コウルドウェル将軍バクダット攻勢の失敗認める(10/20/06作成)
7月に始めたバクグダッド攻勢は成果をあげていないー。Maj. Gen. William B. Caldwellがこれを認め、イラク政府と再検討していると述べた。米兵の死者は10月には73人と、この2年間でも最も急激な増加。
U.S. says violence in Baghdad rises, foiling campaign: Spike in combat deaths (10/20/06 NYT)

イラク政策の変更を求める圧力、日に日に増加
民主党が下院、あるいは両院をとったら、イラク政策「staying the course」の変更へのプレッシャーは極めて高くなる。選挙明け、おそらく1月にベーカーとハミルトンが議長を勤めている「イラク・スタディ・グループ」が提案を行う。しかし、ブッシュがどれほど柔軟性があるかは不明。しかし選択肢は?①国を分割する②タイムラインを決める③民主化はあきらめて安定化だけに集中する。国際会議を開いて、シリア、イランと話し合い新しい外交を行うことになりそう。
Major change expected in strategy for Iraq war (10/20/06 WP)

市民の犠牲者は推定60万人
ジョン・ホプキンズ・ブルムバーグ公衆衛生学部とイラクの研究者が、2003年のアメリカ侵攻から2006年7月までの間に、武装衝突で死亡した市民は60万人と推定する報告書を発表した。この数字は、これまでに公表されていたものより大きい。誤差は43万人から79万人。同グループが前回発表したデータは、サンプルが少ないと批判を浴びたが、今回はそれを改善したとしている。米軍は、この数字は自然死や通常の犯罪犠牲者も含んでおり、実際の武装勢力による死者より大きいとしている。
Iraqi Dead may total 600,000 Study says (10/11/06 NYT)

Backing policy, president issues terror estimate: Increase of Jihardists is seen
(9/27/06 NYT)
ホワイトハウスが26日、米軍によるイラク占領はイスラム・テロリストを拡大させる原因になっている-との情報機関の分析を公表した。この報告書は、米情報機関が今年4月にまとめた包括的なテロリズムについての分析で、一部がリークされ、批判を浴びたため、ホワイトハウスは、異例にもその一部を公表することを決めた。報告書は「イスラム・テロリストの数は増加、地理的にも拡大しており」、この傾向が続けば世界中でテロ攻撃が増える可能性があるとしている。しかし、ブッシュ大統領は、「アメリカを守る唯一の方法は、いまのまま積極的に戦うことだ」とイラク政策を擁護した。

Most Iraqis favor immediate US pullout, polls show
(9/27/06 WP)
国務省などが行った世論調査によると、大半のイラク人は、米軍が撤退した方が治安が安定するとして、米軍の早期撤退を望んでいることがわかった。例えば、バクダットでは、65%が米軍の即時撤退を求めると回答した。

National Guardについて

全米の知事が、ブッシュ政権の政策は、ハリケーン、洪水、山火事やその他の緊急事態に対応するために必要な州兵の装備、人材を疲弊させている、と批判している。植民時代の民兵に起源を持ち、2つの役割。自分の州にいるときは州知事が指揮官で、連邦のミッションで海外に派兵されたら大統領の指揮に入る。50州すべての知事が、州兵の縮小、予算削減に反対する書簡を大統領に送った。マイク・ハッカビー知事連盟議長(アーカンソー州)は「我々の部隊が長い間派遣され、装備も一緒に行き、それが帰ってこなければ、訓練につかう装備がなくなってしまう」。イラクにいる米地上軍の3分の1は、Army National Force. ペンタゴンは2月、州兵を35万人から33万人を削減する予算案を撤回した。
Bush Policies are weakening National guard, Governors say, 2/27/06 NYT

Marine Called Haditha Shootings Appropriate(8/24/06 WP)
2005年11月19日、Hadithaで海兵隊がイラク市民24人を殺害した事件に関して、現場を確認したSgt. J. M. Laughnerの証言。組織的な武装勢力の攻撃への反応として適切なものだったとしている。→報復的な暴力ではなく事故で市民が巻き添えになったとの説明を裏付けるもの。捜査の対象になっている海兵隊員らは、Laughnerに対し、家から発砲があり、自動小銃AK-47Sの音を聴いたと説明した。「女性や子供の死体を見て、なってことだと思いましたが、その場の海兵隊の説明を聞き、AK47sの音を聞こえ、敵が何人いるかわからないときに、自分と仲間を守るために自分も同じことをしなかったとは言い切れない」 何か不適切なことがその日起きた、あるいは何か悪いことが起きたことを示唆するようなものを感じなかったかと問われ、「No, just that a Marine died. That is the only bad thing.」

Officer called Haditha Routine; Marine said Deaths didn’t Merit Inquiry(8/19/06 WP)
事件に関わった3rd Battalion of the 1st Marinesの司令官Lt. Col. Jeffrey R. Chessani は「不幸なことだと思ったが、犯罪の可能性を疑いさえしなかった。それが戦闘行為以外の何かであると信じる理由はなかった」と証言。殺戮にも関わらず、海兵隊が一線を超えて無抵抗な市民を殺したかどうかをとどまって考えさえしない司令官のマイドセットの問題。また、武装勢力を殺すことではなく、安全を提供してイラク市民の支持を獲得することの重要さを現地司令官に理解させることに失敗したトップの問題。

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