| Aki Naganuma WashingtonDC同時代記 |
長沼亜紀 naganuma_washdc@yahoo.co.jp |
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| WashingtonDC同世代記 アメリカ政治・社会について話題となったISSUEについて隔週でまとめて紹介 |
| 米CIA情報漏えい事件 騙された?アメリカ国民:間違いか故意のミスリードか(#3 2005/11/2) |
| チェイニー副大統領の首席補佐官ルイス・リビーが10月28日、CIA情報漏えい疑惑に関連して偽証や司法妨害などの罪で起訴された。事件は実にややこしいが、つまりこれはどういうことなのか? 細部にこだわると本筋を見誤る。あえて単純化した上でのポイントの一つは、「アメリカ国民は騙されていたのかどうか」という点である。11月2日付けワシントンポスト紙の社説は、これについて述べている。 イラク戦争開戦前、戦争への支持を固めるために、ブッシュ大統領、チェイニー副大統領、ライス国家安全保障問題担当補佐官(当時)、ラムズフェルド国防長官、パウエル国務長官(当時)らは、サダム・フセイン大統領が生物・化学兵器や核爆弾など大量破壊兵器の開発に血道をあげていると国民や国連に声高に説明した。特にチェイニー副大統領は、フセイン大統領がアルカイダと共謀しており、9・11同時多発テロにも関係していたとほのめかしていた。 しかし、のちにこれらは間違いだったことが判明、大量破壊兵器はイラクをいくら探しても見つからなかった。なぜ誤った情報分析がされたのか?上院情報委員会の調査は、 CIAがあいまいで古い情報やガセネタをつかまされていたこと、グループ思考(group thinking)に陥っていたこと、またチェイニー副大統領から戦争正当化に都合のよい情報をあげるように圧力を受けていたことを指摘している。 CIA情報漏えい疑惑はこの文脈で起きた。イラク戦争が一段落した2003年7月、ウィルソン元駐ガボン大使が、イラクがニジェールからウランを入手しようとしていたという情報を否定する記事をニューヨークタイムズ紙に掲載した。これは、イラクが大量破壊兵器を開発していたという証拠はもともとなかったことを意味し、ブッシュ政権の主張していた戦争の根拠が大きく揺らぐことになった。窮地に陥った政権内強硬派は、報復としてウィルソン大使の妻がCIA秘密工作員で大使のニジェール派遣に関係していたことをホワイトハウス担当記者らに漏らし、メディアを操ってウィルソン大使の告発の重要性を貶めようとした。リビー首席補佐官は、チェイニー副大統領からウィルソン大使の妻についての情報を得ており、これをニューヨークタイムズ紙のジュディス・ミラー記者やタイム誌のマシュー・クーパー記者にリークした。 国家機密である秘密工作員の身元を明かすのは犯罪であり、CIA情報漏えい疑惑事件は、誰がこの罪を犯したのかを調査するために、CIAの告発から始まった。22ヶ月に及ぶ捜査の結果、大山鳴動ネズミ一匹、現在のところリビー首席補佐官だけが、そもそもの容疑とは別の捜査妨害で起訴され、辞職した。しかし過程で浮かび上がったのは、戦争遂行のために情報を操作しようとした強硬派の動きである。純粋な間違いか故意のミスリードかは議論が分かれるが、ツケを払っているのはもちろん国民だ。社説は「米兵は、上官が予測していなかった完全武装した反乱兵などイラクで多くのことを発見したが、大量破壊兵器は発見できなかった。(中略)なぜイラクに大量破壊兵器があると我々は聞かされていたのか、その答えを一刻も早く示してほしい」と締めくくっている。 ©Aki Naganuma. All rights reserved. |