日本のお正月料理から

千葉寿枝子

 

ふっくら黒豆

 

毎年暮れの用意は黒豆を煮ることから始まります。 黒豆がぴかぴかにふっくらとしわ一つなく煮上がった時は、とても幸せな気分になり、あとのお料理が気分よく作れるようです。 お雑煮の口直しや、お茶の友にお正月の三が日が過ぎても火を通しなおして最後の一粒まで頂いてしまうほど、私は黒豆が大好きなのです。アメリカに来て初めのうちは日本から丹波の黒豆を送ってもらっていたのですが、いつまでもお願いするのは心苦しく、何か代わりになる豆はないかと試していろいろ煮てみましたところ、つぶの大きさはかなり小さくなりますが美味しさは余り変わりなくしかもお値段がぐっと手頃という韓国の豆を見つけ、今は普段から時折煮ては楽しんでいます。煮豆はお砂糖を沢山使いますので健康にはあまり・・・とお考えの方も多いと思いますが、食後のデザート代わり、お茶の友と考えれば、脂肪の多いものよりむしろ良いかもしれません。

 

材料:

黒豆 350g

砂糖 220g

しょうゆ 大さじ2

重曹 小さじ1/2

熱湯 12c

 

作り方:

  • 豆は優しく水で洗い、傷のある豆や皮のむけたものは取り除く。 皮が破れやすいので優しく洗う。
  • 深鍋に12カップの熱湯を入れ、砂糖、しょうゆ、重曹を加え、洗った豆をそっと入れて一晩(7〜8時間)そのままにして豆を柔らかくする。 
    • 私は火を使うのは翌朝からのほうがよいと思い、豆を熱湯につけておくのは8時間前の夜のうちにするようにしております。
  • 鍋の蓋をとり、強火にかけて煮立てる。 煮立ったら水1/2カップを注ぎ、(豆の中まで温度を均一にする為)再び煮立ったらもう一度1/2カップを注ぐ。 アクをとる。
  • ペーパータオル、ガーゼ、木の落し蓋、あるいは穴を開けたアルミホイルなどで落し蓋をする。
  • 鍋蓋を少しずらして弱火で7〜8時間コトコトと煮る。(決して豆が踊ったりすることのないように弱火で煮る。) 煮汁が少なくなったら熱湯を加え、いつも豆が湯の中に入っていることが大切。
  • 親指と人差し指で豆を縦につぶしてみてやわらかくつぶれるくらいになったら出来上がり。 火を止めて、かぶせてあるガーゼなどはそのままにして一日味を含ませる。

保存は煮汁につけたまま密閉容器に入れ、冷蔵庫に入れる。4日ほどたったら火を通しなおす。市販の黒豆にはソルビット、水あめ、食塩、みりん、ワインなどを使ってありますが、上記の材料だけでじゅうぶん美味しい黒豆が出来上がりますのでぜひ作ってみてください。

 

 

筑前煮

 

煮物はひとつひとつの材料をわずかに調味料を変えながら時間をかけてじっくりと煮込んでいく手間ひまのかかる料理ですが、私は全部の材料を一度に煮込める筑前煮を常備品としてよく作っております。少し油を使いますので、若い方にも好まれ、全部の材料を鍋ひとつで炒め煮にしますのでとても簡単にできます。こっくりと照りを出した筑前煮はいつでも気軽に出来る美味しい煮物です。

材料(5〜6人分):

鶏もも肉 300g ・・・ 一口大に切り分け、酒大さじ1、しょうゆ大さじ1に10分つける。

干ししいたけ 6〜7枚 ・・・ 水につけやわらかくする。軸の硬い部分のみ取り去る。

ゆでたけのこ 150g ・・・ 硬いところは1センチの輪切りにし、先のほうは縦に切る。

にんじん 大1本 ・・・ まわしながら3センチくらいの斜め切りにする。

ごぼう 中1本 ・・・ たわしでまわりをよく洗う。(皮はむかないこと。香りがなくなります。)

こんにゃく 1枚 ・・・ 塩で揉み洗いし、5ミリ深さに斜めと横に細かく切れ目をいれてから2センチほどの角切りにする。

れんこん 1節 ・・・ 皮をむき、5ミリの輪切りにする。

きぬさや 24枚ほど ・・・ 筋を取り、さっとゆでておく。

 

作り方:

  • はじめにれんこんとごぼうはさっと茹でておく。
  • 鍋にサラダ油大さじ1を熱し、つけておいた鶏肉を炒め、こんがりキツネ色になったらいったん取り出しておく。
  • きぬさやを除く他の材料を、鶏肉を出したあとの油でよく炒める。
  • 3の中へ酒大さじ3、しょうゆ大さじ3、みりん大さじ2、塩少々を入れて、鶏肉を戻しいれ、だし1カップと砂糖大さじ2杯を加え約10分煮る。
  • 鶏肉のみ取り出してあとのものは水分が少なくなるまで弱火で煮る。(約20分)
  • 完成前に鶏を戻し、鍋全体をよく振り動かして残りの水分を野菜、鶏にからませ、よく照りを出す。
  • 最後にきぬさやを加え、彩りにする。

 

栗蒸し羊羹

 

生栗を茹でて皮をむいたものを使うことにより、あんと栗の硬さがほどよく調和し、ふっくらとした大変美味しい栗蒸し羊羹が出来上がります。市販の砂糖入りこしあん一袋(400g入り)をそのまま使っています。生栗を茹でて硬い皮をむくのは、慣れないと手を傷めたりしますので気をつけてください。

材料(約14px14pの型1個分):

こしあん(砂糖入り) 一袋400g入り

薄力粉 大さじ4

片栗粉 小さじ2

塩 小さじ1

水 大さじ5〜6杯

生栗 大10粒

 

作り方:

  • 生栗は水から茹でる。硬めに茹でて水にとり、皮と渋皮をむいてひとつを2〜3個に切り分けておく。
  • こしあんを大きめのボウルに移し、薄力粉、片栗粉、塩、水を加えよく練る。
  • 型の中へ練ったこしあんを流し入れ、栗を適当な間隔をあけて埋め込んでいく。(出来上がった羊羹のどの部分にも栗が入っているようにしたいものです。)表面をナイフの面でなめらかにする。
  • 蒸し器に入れ、はじめは強火で、その後中火で50分ほど蒸す。
  • 蒸し器より出して、冷えたら切り分ける。

 


 

筆者紹介

千葉寿枝子(ちばすえこ)
さんは御主人のお仕事の関係で5年ほどドイツに住まれた後、1994年からワシントンの近郊にお住まいのベテラン主婦でいらっしゃいます。千葉さんと知り合ったのはかれこれ5年ほど前になりますが、いろいろな機会を通じてお料理のたいへんお上手な方だなと思っておりました。そんなある日、千葉さんがある会のお茶請けにと、写真〔千葉さん御提供〕のようにぴかぴかの黒豆を御持参くださいました。まさにふっくらとやわらかく、ほどよい甘さの黒豆のとりこになり、以来、‘千葉さんちのような黒豆が食べたい!’の気持ちが募り、新年号の‘世界の家庭料理’に御登場願いました。 伺ってみれば、この黒豆は、本当に、千葉家伝来の料理法とのこと。千葉さんとお話していると、”お豆さんを優しく洗って…“というような表現がところどころに出てきて、頭が下がるような思いにさせられます。千葉さんの食物を大切にする心、食材への思いやりみたいなもの、ひいては、家族に対する思いやりまでを感じるからです。季節柄、併せて、野菜の煮物、栗蒸し羊羹の作り方もお教え願いました。日本にお住まいの方は、本場、丹波の黒豆、丹波の栗で試されてはいかがでしょうか。(土屋ゆかり)

 

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