My Life in Africa 金子 和代 仕事の関係でケニアの首都ナイロビに来てから、今年3月で10ヶ月になりました。現在、ODA(政府開発援助)関連のプロジェクトに従事する社会開発コンサルティングの会社に勤めています。これまで、ワシントンDC、南アフリカに拠点を置き、今回のナイロビは3ヶ所目の勤務地となります。 ケニアは東アフリカに位置し、東にインド洋、そのほか、タンザニア、ウガンダ、エチオピア、スーダン、ソマリアと国境を接しています。首都ナイロビはケニア南部で、ほぼ赤道上に位置しているのですが、標高約1,700mと高いため、湿度も低く、非常にしのぎやすい気候です。聞けば夏の軽井沢に例える人もいるとか。最近は街中にショッピングセンターなどが建設されるようになりましたが、それでも緑が多くあり、一年を通じて色とりどりの花が咲いています。 ケニアとその近隣諸国の一部では、広くスワヒリ語が話されます。たとえば、挨拶は「ジャンボ!」、ありがとうは「アサンテ」といった具合です。(これに「サーナ」をつけると、より丁寧に「ありがとうございます」となります。)とてもなじみやすい、しかも愛嬌のある響きで、個人的には、日本語の発音と共通するところがあって習得しやすいように思います。でも、語学本を買ったまでは良いが、それに満足して結局今まで本を1ページも開いていない私に、何も言う資格はないのですが・・・。 アフリカと言えば、食事が気になる方も多いでしょうが、そんな心配は無用です。ケニアの食べ物でまず思い浮かぶのは、「ニャマチョマ」。スワヒリ語で「ニャマ」とは「肉」、「チョマ」は「焼く」で、ヤギや牛の肉を焼いて細かく切ったものを、シンプルに塩などをつけて食べます。これがビールに合うんです!主食は、とうもろこしの粉をお湯で練った「ウガリ」や、小麦粉を水で溶かし、薄く伸ばして焼いた「チャパティ」があります。マンゴーやパッションフルーツ、パパイヤといった南国の果物が年中安く手に入るのも魅力的です。日本食が恋しくなれば市内にレストランもありますので(ただし韓国人経営のところが多い)、こちらに来て食べ物で困ったことはありません。 ナイロビでの私の仕事は、事務所のマネジメント、海外営業・ネットワーキング、調査研究など、一言で言えば「何でも屋」です。これまで勤務した3ヶ所の海外事務所のうち、南アフリカとナイロビでは、事務所立ち上げが主なる仕事です。現地で営業活動などを行うために、事務所立ち上げは必須ですが、事務所開設と一言で言っても、そのための手続きは数多くあります。しかも一つひとつの手続きに時間がかかり、担当者によって発言内容が違う、突然政策や手続き内容が変わり、しかもそれが周知されないために、担当オフィスに何度も足を運ぶはめになる・・・など、「3歩進んで2歩下がる」どころか、「5歩進んで12歩下がる」ことも珍しくありません。そんな、「サイコロ振って進み戻る双六のような仕事生活」を送っています。
アフリカ大陸での勤務は2ヶ国目ですが、最初に行った南アフリカは、アフリカであってアフリカでない、「アフリカの中のヨーロッパ」に住んでいるような感じでした。特に南ア生活1年半の中で、最後の半年間住んでいたヨハネスブルグは、高いビルが立ち並び、大きなショッピングモールがあちこちにあり、道路や通信などインフラも整っていて、治安を除けば生活面では不自由しませんでした。ナイロビに拠点を移す前、南アからナイロビに初めて短期出張した時の正直な印象は、「こじんまりしているなあ」というものだったのを今でも覚えています。ところが今では、地方からナイロビに戻ってくると、「ナイロビってなんて大きくて、何でも揃っているんだろう」と思ってしまいます。「住めば都」というのでしょうか、あるいは変わり身の早さといったらいいのか、自分でもこの発想の違いに時々笑ってしまいます。 留学や海外勤務などをされた経験のある方は多かれ少なかれ感じられたかと思いますが、外国で何か新しいことをする時、その土地で知っている人がいるのといないのとの違いは、本当に大きいです。特にアフリカではそれを強く感じます。ヨハネスブルグには会社の同僚や知っている人が全くいない状態で飛び込んでいきました。事務所兼住居を探すのにも、現地の不動産会社に手当たり次第コンタクトし、南アの田舎町から車で4時間運転して何度も物件を見に行き、時にはその日に帰ることが出来ずに近くのB&Bで泊り込み、会社も納得する物件を見つけてようやく契約にたどり着くまでに2ヶ月強かかりました。引っ越した後も、電話線やインターネットの開設、私書箱の設置など生活や仕事のセットアップに奔走しました。治安が極めて悪く、まして知り合いもいない街での女のひとり暮らしはかなりのストレスだったなと、今になって思います。 ナイロビの場合は、こちらで長く住んでおられる日本人の方に事務所開設手続きから住居探しまで大変お世話になり、おかげでスムーズに事を運ぶことができました。それまでも人に感謝することは何度もありましたが、何も知らない土地で闇雲に頑張っても成果が得られず挫折を味わってからは、手を差し伸べられた時の人の優しさ、ありがたさをことさら強く感じるのかもしれません。 外国で、しかもアフリカでは、日本と比べて色々と勝手が違いますし、こちらが思うように行かないところも沢山あります。でも、いちいち気にしていたら何も進まないのがアフリカ。そう思って、何でも「ポレポレ(ゆっくりゆっくり)」を心がけています。 生来のんびり屋(怠け者とも言う?)の私には、この「ポレポレ」した時間の流れに身を任せているのが、性に合っているのではないかなと思う、この頃です。 (終わり)
金子和代:千葉県出身。Institute of Social Studiesで修士号(国際開発)を取得後、在米日本大使館の専門調査員を経て、日本の社会開発コンサルティング会社に勤務。現在はアフリカ地域担当スタッフとしてケニア・ナイロビに在住し、海外営業・ネットワーキング、調査研究業務などに従事。 |
©2005 Washington Japanese Women's Network. All rights reserved.