「ニューヨークと私」レンズで追う-Part2:ハーレムの教会- 加藤 里美(Kato, Satomi) - WJWN(Washington Japanese Women's Network)

VIEWS

ワシントンと私

「ニューヨークと私」レンズで追う-Part2:ハーレムの教会- :VIEWS 2009年秋号(第19号)掲載

加藤 里美(Kato, Satomi)

St. Marks
セントラルハーレムにあるセント・マーク教会の内部©S.Kato

ニューヨーク・ハーレムに住んで2年になる。ハーレムと言えば、黒人文化の中心地として有名であると同時に、貧困と犯罪のイメージが強いが、私の住み始めた頃のセントラルハーレムは、ゴールデン・エリアと呼ばれ、昔と違い治安も街並みも改善され、マンハッタンの発展地域として注目を浴びていた。マンハッタンのミッドタウンの家賃高騰の煽りを受けて、高所得層の白人たちが、家賃が手頃なハーレムに流れ込み、低所得層の黒人たちが住み慣れた街を追われるという現象が起こり、社会問題としてメディアも取り上げていた。

人種のデモグラッフィックが変わり始めたこの街で、日本人は周りを見渡しても私だけのようで、東洋人といえば、中華料理店の定員を見かけるくらい。それでも行き交う人々の鮮やかな色使いの服装や帽子、ヘアースタイルなどがとても新鮮で、見知らぬ街での新しい発見をそれなりに楽しんでいた。ところが、昨年の世界経済不況の影響で、街の様子が変わり始めた。まず治安が悪くなり、白昼でも銃声が聞こえる。夕方、地下鉄からの帰り道、私のすぐ目の前を警察官二人が拳銃を片手に、逃げる男を追いかけ取り押さえる場面に出くわしたこともあった。まるで刑事ドラマを見ているようだったが、ハーレムの別の顔に触れ、震撼させられた。

それでも、街の人々の多くは素朴で温かい。私のオフィスの近くにあるカトリックのセント・マーク教会は、コミュニティの絆と人々の素顔を垣間見られる絶好の場所だ。同教会のタニー神父は、南アフリカの教会で活動をしていたイギリス人で、ハーレムでも心優しい神父として皆に慕われている。タニー神父に許可を得て、普段見られないハーレムの子どもたちや父親の姿をレンズで追った。

洗礼式

少女2人
式を待つ少女たち。おしゃれをしてお行儀よく©S.Kato

Alter Girl in Red
ミサの手伝いをする少女©S.Kato

ある日曜日のミサで、男の赤ちゃんと小学生の女の子二人の洗礼式が行われた。

Baby
写真4©S.Kato

父親に抱かれた赤ちゃんは、ずっと、目をきょろきょろさせ、いつもと何だか雰囲気が違うことを肌で感じているようだった(写真4)。

Communion Girl
写真5©S.Kato

ウエディングドレスを着た二人の女の子は、まるでお姫様気分で、やや興奮気味に席についていた(写真5)。

Communion Girl2
写真6©S.Kato

一人の女の子は、父親から洗礼式の手順を言い聞かされやや緊張した表情に(写真6)。周りでは、親達が写真やビデオで我が子の姿を収めるのに大忙し。これは古今東西同じこと。

父の日

Dancers Large
写真8、9©S.Kato

6月の父の日のミサでは、教会のダンスチームの女の子たちが特別に父親ために心のこもった踊りを披露した(写真8、9)。私の隣で写真を撮っていた父親の一人は、「娘の踊りに感激しちゃって。」と目を潤ませていた。

Speaker
写真7©S.Kato

ミサの最後には、聖歌隊でゴスペルを歌っている一人の女性が、壇上に上がり、父親への感謝の気持ちを歌にした(写真7)。

 Applause
写真10©S.Kato

隣で聴いていた父親は、感無量の様子。その姿に参加者ももらい泣きしていた(写真10)。

セント・マーク教会には、父が子を思い、子は父親を尊敬し、互いへの愛情を素直に表現する飾らないハーレムの人々の姿があった。

レンズで追う1写真展「忘れられたアフガニスタン難民の子供達」はVIEWS2006年秋号をご覧ください。

著者紹介

加藤 里美(Kato, Satomi)

テレビキャスター、ラジオレポーターなどを務め、1997年上智大学入学。99年アイオワ大学編入のため渡米。アメリカン大学大学院でフォト・ビデオジャーナリズムを学び、修士号を取得。2005年アフガニスタン難民の現状を、パキスタン、ペシャワールで単独取材。06年国連本部にて「アフガニスタン難民の子供たち」の写真展を開催。現在、ニューヨーク、ワシントンDCを拠点にフォトジャーナリストとして活動中。www.satomiphotography.com



お知らせ

2019/02/01
VIEWS 2019年冬号を公開しました。
2019/11/01
VIEWS 2018年秋号を公開しました。
2018/08/01
VIEWS 2018年夏号を公開しました。
2018/05/01
VIEWS 2018年春号を公開しました。
2018/02/01
VIEWS 2018年冬号を公開しました。
2017/11/01
VIEWS 2017年秋号を公開しました。
2017/08/01
VIEWS 2017年夏号を公開しました。
2017/05/01
VIEWS 2017年春号を公開しました。
2017/02/01
VIEWS 2017年冬号を公開しました。
2016/11/06
VIEWS 2016年秋号を公開しました。
2016/08/06
VIEWS 2016年夏号を公開しました。
2016/05/01
VIEWS 2016年春号を公開しました。
2016/01/30
VIEWS 2016年冬号を公開しました。
2015/11/01
VIEWS 2015年秋号を公開しました。
2015/07/26
VIEWS 2015年夏号を公開しました。
2015/04/26
VIEWS 2015年春号を公開しました。
2015/01/04
VIEWS 2015年冬号を公開しました。
2014/10/09
VIEWS 2014年秋号を公開しました。
2014/07/18
VIEWS 2014年夏号を公開しました。
2014/4/21
VIEWS 2014年春号を公開しました。
2014/1/23
VIEWS 2014年冬号を公開しました。
2013/10/08
VIEWS 2013年秋号を公開しました。
2013/07/08
VIEWS 2013年夏号を公開しました。
2013/04/08
VIEWS 2013年春号を公開しました。
2013/01/09
VIEWS 2013年冬号を公開しました。
2012/10/15
VIEWS 2012年秋号を公開しました。
2012/07/09
VIEWS 2012年夏号を公開しました。
2012/04/09
VIEWS 2012年春号を公開しました。
2012/01/17
VIEWS 2012年冬号を公開しました。
2011/10/12
VIEWS 2011年秋号を公開しました。
2011/10/12
VIEWSバックナンバーを追加しました。
2011/07/12
VIEWS 2011年夏号を公開しました。
2011/04/06
VIEWS 2011年春号を公開しました。
2011/01/11
VIEWS 2011年冬号を公開しました。
2011/01/11
VIEWSバックナンバーを追加しました。

更新履歴

2019/02/01
VIEWS 2019年冬号を公開しました。
2018/11/01
VIEWS 2018年秋号を公開しました。
2018/08/01
VIEWS 2018年夏号を公開しました。
2018/05/01
VIEWS 2018年春号を公開しました。
2018/02/01
VIEWS 2018年冬号を公開しました。
2017/11/01
VIEWS 2017年秋号を公開しました。
2017/08/01
VIEWS 2017年夏号を公開しました。
2017/05/01
VIEWS 2017年春号を公開しました。
2017/02/01
VIEWS 2017年冬号を公開しました。
2016/11/08
VIEWS 2016年秋号を公開しました。
2016/08/08
VIEWS 2016年夏号を公開しました。
2016/04/20
VIEWS 2016年春号を公開しました。
2016/02/01
VIEWS 2016年冬号を公開しました。
2015/11/01
VIEWS 2015年秋号を公開しました。
2015/07/26
VIEWS 2015年夏号を公開しました。
2015/04/12
VIEWS 2015年春号を公開しました。
2015/01/04
VIEWS 2015年冬号を公開しました。
2014/10/09
VIEWS 2014年秋号を公開しました。
2014/07/18
VIEWS 2014年夏号を公開しました。
2014/4/21
VIEWS 2014年春号を公開しました。
2014/1/23
VIEWS 2014年冬号を公開しました。
2013/10/08
VIEWS 2013年秋号を公開しました。
2013/07/08
VIEWS 2013年夏号を公開しました。
2013/04/08
VIEWS 2013年春号を公開しました。
2013/01/09
VIEWS 2013年冬号を公開しました。
2012/4/9
VIEWS 2012年春号を公開しました。
2011/10/12
VIEWS 2011年秋号を公開しました。
2011/10/12
VIEWSバックナンバーを追加しました。
2010/12/22
VIEWSバックナンバーを追加しました。
2010/10/14
VIEWS 2010年秋号を公開しました。
2010/10/10
Webサイトをリニューアルしました。

バックナンバー

2019年
2019年冬号(第56号)
2018年
2018年秋号(第55号)
2018年夏号(第54号)
2018年春号(第53号)
2018年冬号(第52号)
2017年
2017年秋号(第51号)
2017年夏号(第50号)
2017年春号(第49号)
2017年冬号(第48号)
2016年
2016年秋号(第47号)
2016年夏号(第46号)
2016年春号(第45号)
2016年冬号(第44号)
2015年
2015年秋号(第43号)
2015年夏号(第42号)
2015年春号(第41号)
2015年冬号(第40号)
2014年
2014年秋号(第39号)
2014年夏号(第38号)
2014年春号(第37号)
2014年冬号(第36号)
2013年
2013年秋号(第35号)
2013年夏号(第34号)
2013年春号(第33号)
2013年冬号(第32号)
2012年
2012年秋号(第31号)
2012年夏号(第30号)
2012年春号(第29号)
2012年冬号(第28号)
2011年
2011年秋号(第27号)
2011年夏号(第26号)
2011年春号(第25号)
2011年冬号(第24号)
2010年
2010年秋号(第23号)
2010年夏号(第22号)
2010年春号(第21号)
2010年冬号(第20号)
2009年
2009年秋号(第19号)
2009年夏号(第18号)
2009年春号(第17号)
2009年冬号(第16号)
2008年
2008年秋号(第15号)
2008年夏号(第14号)
2008年春号(第13号)
2008年冬号(第12号)
2007年
2007年秋号(第11号)
2007年夏号(第10号)
2007年春号(第09号)
2007年冬号(第08号)
2006年
2006年秋号(第07号)
2006年夏号(第06号)
2006年春号(第05号)
2006年冬号(第04号)
2005年
2005年秋号(第03号)
2005年夏号(第02号)
2005年春号(第01号)
これまでの特集
私が出会った芸術家
移民として生きる
持たない生活
マイアート
海外で第二次世界大戦の歴史に直面する時
トランプのアメリカ
女性と政治
ファミリー・ネームから考える家族関係
シングル・マザー
日本と海外の子育て事情
非営利団体(NPO)で働く
国際機関で働く
マイブーム ~ 私がいま夢中になっていること
世界の新年の祝い方
Eデート体験記
サッカーへの熱い想い
世界に散らばる家族
語学習得への道
40代の過ごし方
日本にいる高齢の親を想う
ソーシャル・メディア
留学の意義を再び考える
復興へ
離婚
地震
高齢になったら
ボランティア
各国出産体験記
受験事情あれこれ
医療保険
新しい日米関係
食を考える
身近に感じる経済不況
異文化の架け橋
女性の社会進出
NPO
2008年大統領選挙
ワシントニアンが伝授する知られざるDCの楽しみ方
環境:私たちにとっての地球
芸術
国際協力
医療
教育への思い
私の夏
戦後60周年特別企画II
戦後60周年特別企画I
ワシントンと私
連載一覧
ワシントンと私
人・マイライフ
世界の街から
世界の家庭料理
家族の風景
私の本棚
旅・ギャラリー
特別寄稿
随筆