美しい思い出のワシントン 谷 紀子(Tani, Noriko) - WJWN(Washington Japanese Women's Network)

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ワシントンと私

美しい思い出のワシントン:VIEWS 2007年春号(第09号)掲載

谷 紀子(Tani, Noriko)

ニューハンプシャーに引っ越して、すでに7年半。遠くから思い出すワシントンは、いつも美しい。この機会に、「また行きたいワシントン(プラス近郊)・トップ10」のリストを作ってみた。♪ジャジャーン!

10位:Academy of Scienceのアインシュタインの像(DC:モール)


荘厳なリンカーンメモリアル、静かな悲しみに包まれたベトナムメモリアルを見てから、Constitution通りを渡ってここに来るとホッとする。この写真を撮ったのは、翌朝日本に帰る物理学者の知人を連れていった時のものだ。(私の隣にいるのは夫)いつもはもの静かな彼が、ここでは子供のようにはしゃいでいた。

9位:ケネディーセンターのテラスからの夜景(DC)

ケネディーセンターには、いつもおめかしをして行ったものだ。Grand Foyerのシャンデリアの下を通ってテラスに出ると、ポトマック川にジョージタウンのウォーターフロントの灯が映って、それはゴージャスな気持ちになるものだった。

8位:アナポリス(MD)

ここには良く晴れた爽やかな日に行きたい。港に浮かぶ大小のヨット。ベイブリッジ。白い制服姿の海軍兵学校生たちが行き来する姿。どれも麗しい。

7位:聖フランシスコ会の修道院(DC:16thSt.NW)

ワシントンで病院に勤めていたとき、私の仕事の一つは退院間近の患者を「社会復帰遠足」に連れて行くことだった。一度だけ、患者からの提案で聖フランシスコ会の修道院に行ったことがある。修道士が案内に出てきてくれた時「まぁ、本の挿絵の聖フランシスと同じ服」と、とても驚いたのを覚えている。

6位:ハーパーズフェリーのジョン・ブラウン記念碑(WV)

♪John Brown’s body lie a-mouldering in the grave♪と歌われたこの人は、奴隷開放運動の先駆者である。高校の世界史の授業中居眠りしていた罰であろう、こんなに過激な人について、ハーパーズフェリーに行くまで全く知らなかった。どんなに強い信念を持っていても、暴力ざたで改革を実行しようとしたことは、決して誉められたことではない。それでも、私は彼が好きである。

5位:夜のKorean War Memorial(DC:モール)

ワシントンの記念碑は、夜になるとライトアップされて昼間とは違う顔をしている。特にこのメモリアルは、夜になると浮き彫りになっている兵士の顔が、ふっと浮かび上がってきて、「寒い、疲れた、早くアメリカに帰りたい」と言う声が聞こえてくるのだ。

4位:Rock Creek ParkのBeach Drive(DC: NW)

フレンドシップハイツに住んでいたので、この道を通ってワシントンのあちこちに行くことが多かった。週末にはローラーブレードで、同じ道を行くのがまた楽しかった。たった10分でも、半日がかりでも、Rock Creek Parkの散歩をすると、とても良い気持ちになった。

3位:National Museum of Artの東館のロビー(DC:モール)

ワシントンの生活で「これは贅沢だった」と思うのは「美術館に行って、特別展だけ見て来る事」である。ニューヨークやボストンの美術館で入場料を払うと、「せっかくだから、全部見て帰りましょう」という小市民根性が出てきてしまう。そして、足は棒になり、見たものはいっしょくたになって、何だか疲れた1日になる。それに比べて、入場無料のスミソニアンのありがたいこと。ピカソもゴッホも、そういう特別展を通じて、より深く理解することが出来たように思われる。特別展を見たあとで、東館の吹き抜けのロビーに座って、大好きな金色の鳥の像を見上げ、ゆったりとした気持ちになったことは忘れない。

2位:大雨の翌日のGreatFalls(MD & VA)


ここには、いつもメリーランド側から行った。C & O運河の遊歩道から、右手に折れて、橋を渡って行くと、だんだん期待が高まってきたものだった。水がゴウゴウと音を立てて行く様はいつまで眺めていても飽きなかった。この写真にも、口を開けてボーっと眺めている私が映っている。

1位:Kenwoodの桜並木(MD)


この文章がViewsに載る頃、ここの桜は見頃だろうか。桜の花が咲く1週間以外は、どうということもないベセスダの住宅街が、この時だけは夢の中のように美しくなる。週末の午後など、人々が三々五々、それでも住宅街であるから、皆、行儀良く歩いている。その人達が道の左右に避けると、お年寄りが後部座席までぎっしり乗った車が、ゆっくりと通って行く。自宅から歩いて30分ほどだったので、桜の季節は毎日ここを散歩した。

今の私にとって、ワシントンは「ニュースで見る所」である。ワシントンはずいぶん変わってしまったと人づてに聞いた。だが、ここに挙げる10ヶ所は、政権が変わっても、テロリストが現れても、きっと美しいままのはずだ。

著者紹介

谷 紀子(Tani, Noriko)

千葉県船橋市出身。ニューハンプシャー州レバノン市在住。趣味は園芸と犬の散歩。お茶の水女子大で中国文学、University of Wisconsin-La Crosseでレクリエーション学を学んだ。現在はソフトウェアのテスター。



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