アメリカ・日本・韓国を結ぶ賑やか家族 奥田 輝子(Okuda, Teruko) - WJWN(Washington Japanese Women's Network)

VIEWS

家族の風景

アメリカ・日本・韓国を結ぶ賑やか家族:VIEWS 2007年春号(第09号)掲載

奥田 輝子(Okuda, Teruko)

家族団欒というテーマで書いて下さいと頼まれたとき「家族とはなんだろう?」と改めて考えさせられた。東京には年に1度ぐらいしか会えない私の6人の兄と姉とその家族達がいるが、「遠い親戚より近くの他人」のことわざにもあるとおり、私達にはこの地でめぐり合えた様々な「新しい家族」と呼べる人々との交流がある。

引っ越して来て間もない頃ワシントン東京婦人会で知り合った、ヘレンとジョー夫妻のご家族とは家族ぐるみの長いお付き合いがあった。近所だったこともあり、4月のイースター、11月のサンクスギビング、12月のクリスマスには3人の息子さんのご家族やその友達も加え、ヘレンの心のこもった美味しい手料理で私達親子3人も家庭的な雰囲気でもてなしていただいた。家を購入した際には、ジョーにペンキやブラシの選び方から塗り方まで教わり、ジョニーにはトヨタの赤いピックアップトラックでクリスマスツリーを買いに連れて行ってもらったこともある。幼かった息子がこの信仰心の深く、人を温かく受け入れる家族の皆さんの人柄に教えられたものは計り知れない。今でも我が家のホリデイ・ディナーはヘレンのレシピによるもの。ご両親が亡なくなるまで手厚く看護された心根の優しい、真面目人間の末息子ジョニーの婚約者に最近紹介されたが、久しぶりで懐かしい顔ぶれが揃っていた。


もう一組のご家族は、近年忙しい仕事の合間に毎週といってよいほどサンデー・ブランチに招待してくれる、近所に住む博美・ブレント夫妻である。‘ブランチ・バンチ’と博美さんがユーモラスに呼んでいる仲間の10人前後の顔ぶれは大体決まっていて、2週間も会わないとお互いに懐かしくなるのは、彼女の作る美味しいお料理のせいだけではない。博美さんとは10年来の友達だが、抜群の記憶力で披露する彼女の英語のジョークには誰もが笑わされる。会話が面白いだけでなく、何しろ親身で、やさしい心配りがある。博美さんは会議通訳が専門で文字通り世界中を飛び回っている・・・とすぐ自慢する私はまるで親の気分。初めてブレントを紹介されたときも親の目で厳しく?夫と共に品定めをした事を今でも二人に笑われてしまう。


そして、私達にはニューヨーク(NY)に住む息子の家族がいる。(双子の孫出産前後の手伝いを頼まれ長逗留していた際、NYから出した手紙のひとつをここに引用させていただく)

『4ヶ月前から始まった息子夫婦との同居生活もめでたく終わりに近づき、いよいよ来週の火曜日に我が家に帰ることになった。超きれい好きのヘミとのコンビも我ながら良く続いたものだと感心している。孫は可愛いが、やはり祖母として好きな時に出没できるほうが良いに決まっている。夫と二人だけの‘我がまま生活’に戻れるので正直言ってほっとする。予定より早く帰れるきっかけとなったのは、思いがけず生後3ヶ月から入れる適当な託児所が見つかったからである。正に天の恵みとしか言いようがない。乳児8人1クラスで3人の保母さんが付くそう。お食事の時間、お昼寝の時間、お遊び?の時間と音楽、読書など情操教育らしきこともやるそうな。朝7時から夕方5時半まで預かってくれ、お値段は二人目は割引で月謝は1800ドル。共働きでこそ支払える額である。「子供を預けてまで働かなくとも・・・」の一言はここアメリカでは禁句なのです。 今晩はヘミのご両親キム夫妻、弟のウイリーとガールフレンドのシェラが夕食に来た。時々バージニア州から訪れる夫と双子の赤ちゃんを含め総勢10人の大家族となる。アメリカに移ってから30年、親子3人でスタートした我が家もなんとも賑やかになった。息子が手際よく骨付きのラムのバーべキューを外のグリルで美味しく焼き、夫が用意した100%シラーズのオーストラリアの赤ワインが良く合った。明日はヘミのご両親のお宅で韓国料理をご馳走になる。滞在中に代表的な料理をいくつか教わった。ビビンバ、キムチチゲ、プルコギ、チジミ、サムゲタン、チャプチエなどがそれである。主婦としての年輪を感じさせるキム夫人の作る白菜のキムチは実に美味しい。医大教授のキム氏もアメリカ生活が長いだけあって、バーべキューだけはお手のものである。私もスーパー・ミツワまで買出しに行き、滞在中に何度か日本食を用意し、キム夫人とレシピを交換した。』


あれから1年半になろうとしている。私はケアファンドのボランティアと、リタイヤ後に夫と習い始めた社交ダンスと、たまの旅行を楽しんでいる。双子の孫達は19ヶ月、お陰で元気に育っている。私達もたまに泊りに行くが、最近は電話口で歌ってくれるようにもなり、楽しみが増えた。保育園への毎日の出迎えはご近所に住むヘミの両親と息子夫婦が交代でやっているが、孫達が流行の風邪などもらって来て頻繁に休むので、見かねたヘミの母親が最近早期退職してくれた。音大を出ているキム夫人はその内、孫達にピアノを教えてくれるそうな。私達はこの夫婦には足を向けては寝られない気持ちでいる。ヘミの両親が海外旅行の際はヘミの弟と婚約者がバトンタッチしてくれる。その二人も4月には結婚にこぎつける。奥田・キム家の家族団欒も益々賑やかになって行くことであろう。こうして日本と韓国の家族を持つ孫たちが新しいアメリカの将来の一端を担って行くわけである。

著者紹介

奥田 輝子(Okuda, Teruko)

青山学院大卒。参議院議員秘書を経て結婚。1977年家族とともに渡米。その後画廊勤務、日本にアメリカ作家の展示会を持っていくアートプロモーターを経て、1995年ジョージタウンに現代アジア美術の画廊を開き、多くの日本人画家を紹介した。2002年に退職し、2006年より非営利団体ケアファンド会長。



お知らせ

2019/02/01
VIEWS 2019年冬号を公開しました。
2019/11/01
VIEWS 2018年秋号を公開しました。
2018/08/01
VIEWS 2018年夏号を公開しました。
2018/05/01
VIEWS 2018年春号を公開しました。
2018/02/01
VIEWS 2018年冬号を公開しました。
2017/11/01
VIEWS 2017年秋号を公開しました。
2017/08/01
VIEWS 2017年夏号を公開しました。
2017/05/01
VIEWS 2017年春号を公開しました。
2017/02/01
VIEWS 2017年冬号を公開しました。
2016/11/06
VIEWS 2016年秋号を公開しました。
2016/08/06
VIEWS 2016年夏号を公開しました。
2016/05/01
VIEWS 2016年春号を公開しました。
2016/01/30
VIEWS 2016年冬号を公開しました。
2015/11/01
VIEWS 2015年秋号を公開しました。
2015/07/26
VIEWS 2015年夏号を公開しました。
2015/04/26
VIEWS 2015年春号を公開しました。
2015/01/04
VIEWS 2015年冬号を公開しました。
2014/10/09
VIEWS 2014年秋号を公開しました。
2014/07/18
VIEWS 2014年夏号を公開しました。
2014/4/21
VIEWS 2014年春号を公開しました。
2014/1/23
VIEWS 2014年冬号を公開しました。
2013/10/08
VIEWS 2013年秋号を公開しました。
2013/07/08
VIEWS 2013年夏号を公開しました。
2013/04/08
VIEWS 2013年春号を公開しました。
2013/01/09
VIEWS 2013年冬号を公開しました。
2012/10/15
VIEWS 2012年秋号を公開しました。
2012/07/09
VIEWS 2012年夏号を公開しました。
2012/04/09
VIEWS 2012年春号を公開しました。
2012/01/17
VIEWS 2012年冬号を公開しました。
2011/10/12
VIEWS 2011年秋号を公開しました。
2011/10/12
VIEWSバックナンバーを追加しました。
2011/07/12
VIEWS 2011年夏号を公開しました。
2011/04/06
VIEWS 2011年春号を公開しました。
2011/01/11
VIEWS 2011年冬号を公開しました。
2011/01/11
VIEWSバックナンバーを追加しました。

更新履歴

2019/02/01
VIEWS 2019年冬号を公開しました。
2018/11/01
VIEWS 2018年秋号を公開しました。
2018/08/01
VIEWS 2018年夏号を公開しました。
2018/05/01
VIEWS 2018年春号を公開しました。
2018/02/01
VIEWS 2018年冬号を公開しました。
2017/11/01
VIEWS 2017年秋号を公開しました。
2017/08/01
VIEWS 2017年夏号を公開しました。
2017/05/01
VIEWS 2017年春号を公開しました。
2017/02/01
VIEWS 2017年冬号を公開しました。
2016/11/08
VIEWS 2016年秋号を公開しました。
2016/08/08
VIEWS 2016年夏号を公開しました。
2016/04/20
VIEWS 2016年春号を公開しました。
2016/02/01
VIEWS 2016年冬号を公開しました。
2015/11/01
VIEWS 2015年秋号を公開しました。
2015/07/26
VIEWS 2015年夏号を公開しました。
2015/04/12
VIEWS 2015年春号を公開しました。
2015/01/04
VIEWS 2015年冬号を公開しました。
2014/10/09
VIEWS 2014年秋号を公開しました。
2014/07/18
VIEWS 2014年夏号を公開しました。
2014/4/21
VIEWS 2014年春号を公開しました。
2014/1/23
VIEWS 2014年冬号を公開しました。
2013/10/08
VIEWS 2013年秋号を公開しました。
2013/07/08
VIEWS 2013年夏号を公開しました。
2013/04/08
VIEWS 2013年春号を公開しました。
2013/01/09
VIEWS 2013年冬号を公開しました。
2012/4/9
VIEWS 2012年春号を公開しました。
2011/10/12
VIEWS 2011年秋号を公開しました。
2011/10/12
VIEWSバックナンバーを追加しました。
2010/12/22
VIEWSバックナンバーを追加しました。
2010/10/14
VIEWS 2010年秋号を公開しました。
2010/10/10
Webサイトをリニューアルしました。

バックナンバー

2019年
2019年冬号(第56号)
2018年
2018年秋号(第55号)
2018年夏号(第54号)
2018年春号(第53号)
2018年冬号(第52号)
2017年
2017年秋号(第51号)
2017年夏号(第50号)
2017年春号(第49号)
2017年冬号(第48号)
2016年
2016年秋号(第47号)
2016年夏号(第46号)
2016年春号(第45号)
2016年冬号(第44号)
2015年
2015年秋号(第43号)
2015年夏号(第42号)
2015年春号(第41号)
2015年冬号(第40号)
2014年
2014年秋号(第39号)
2014年夏号(第38号)
2014年春号(第37号)
2014年冬号(第36号)
2013年
2013年秋号(第35号)
2013年夏号(第34号)
2013年春号(第33号)
2013年冬号(第32号)
2012年
2012年秋号(第31号)
2012年夏号(第30号)
2012年春号(第29号)
2012年冬号(第28号)
2011年
2011年秋号(第27号)
2011年夏号(第26号)
2011年春号(第25号)
2011年冬号(第24号)
2010年
2010年秋号(第23号)
2010年夏号(第22号)
2010年春号(第21号)
2010年冬号(第20号)
2009年
2009年秋号(第19号)
2009年夏号(第18号)
2009年春号(第17号)
2009年冬号(第16号)
2008年
2008年秋号(第15号)
2008年夏号(第14号)
2008年春号(第13号)
2008年冬号(第12号)
2007年
2007年秋号(第11号)
2007年夏号(第10号)
2007年春号(第09号)
2007年冬号(第08号)
2006年
2006年秋号(第07号)
2006年夏号(第06号)
2006年春号(第05号)
2006年冬号(第04号)
2005年
2005年秋号(第03号)
2005年夏号(第02号)
2005年春号(第01号)
これまでの特集
私が出会った芸術家
移民として生きる
持たない生活
マイアート
海外で第二次世界大戦の歴史に直面する時
トランプのアメリカ
女性と政治
ファミリー・ネームから考える家族関係
シングル・マザー
日本と海外の子育て事情
非営利団体(NPO)で働く
国際機関で働く
マイブーム ~ 私がいま夢中になっていること
世界の新年の祝い方
Eデート体験記
サッカーへの熱い想い
世界に散らばる家族
語学習得への道
40代の過ごし方
日本にいる高齢の親を想う
ソーシャル・メディア
留学の意義を再び考える
復興へ
離婚
地震
高齢になったら
ボランティア
各国出産体験記
受験事情あれこれ
医療保険
新しい日米関係
食を考える
身近に感じる経済不況
異文化の架け橋
女性の社会進出
NPO
2008年大統領選挙
ワシントニアンが伝授する知られざるDCの楽しみ方
環境:私たちにとっての地球
芸術
国際協力
医療
教育への思い
私の夏
戦後60周年特別企画II
戦後60周年特別企画I
ワシントンと私
連載一覧
ワシントンと私
人・マイライフ
世界の街から
世界の家庭料理
家族の風景
私の本棚
旅・ギャラリー
特別寄稿
随筆