イランのお正月 春分の日に祝うノウルーズ 千葉 裕子(Chiba, Yuko) - WJWN(Washington Japanese Women's Network)

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特集:世界の新年の祝い方

イランのお正月 春分の日に祝うノウルーズ:VIEWS 2015年冬号(第40号)掲載

千葉 裕子(Chiba, Yuko)

ハフトシンといってSで始まる品を並べる正月飾り。鏡も縁起物の一つで、その前に生きた金魚。筆者撮影。
ハフトシンといってSで始まる品を並べる正月飾り。鏡も縁起物の一つで、その前に生きた金魚。筆者撮影

イラン歴では、春分の日が1月1日で、太陽が春分点を通過する瞬間に年が変わる。今年は西暦2014年3月20日(イラン歴1393年1月1日)20時27分であった。正月のことをペルシャ語でノウルーズというが、ノウルーズ行事はイスラム教とはほとんど関係なく、古代ペルシアの宗教であるゾロアスター教(拝火教)の儀式と伝統が元になっている。

冬の寒さを表す黒と生命の息吹を象徴する赤

ノウルーズが近づくと、赤い服を着て顔を黒く塗った若者がタンバリンのようなイランの楽器をたたきながら歌い踊る姿を見るようになる。黒い顔は炭を燃やして暖を取る冬の夜の寒さを表し、赤い服は生命の息吹が再生され春が始まる喜びを表す。縁起モノなので、おひねりを渡す。ノウルーズ前の最後の水曜日は前夜祭で、近所の人が集まってたき火を作り、提灯をゆっくり飛ばし、一人ずつたき火を飛び越える。たき火を越えると病気や困難が燃やされ新しい年に幸せが訪れると信じられている。近年では打ち上げ花火や爆竹などの危険な行為、怪我も増えてきていて、当局は注意を呼びかけている。

正月飾りとお年玉

縁起のよい正月飾りとして、どこの家庭でもSの音で始まる7つのもの(Sib(リンゴ)、 Sir(ニンニク)、Sekke(貨幣)、Serke(酢)、Sabzi(草)など)を飾る。そのほか、鏡、ろうそく、卵、金 、生きた金魚などの縁起物も一緒に並べる。コーランを飾る人もいる。

毎年政府によって発表される、太陽が春分点を通過する正確な時刻が近づくと、じっと待ち、その瞬間にサーレ・ノウ・モバラーク(新年おめでとう)と言って祝う。家族とのつながりを大切にするイラン人は、祖父母など年長者の家から順に年始のあいさつをし、自宅に招き合う。マンションのスタッフ等、普段働いてくれる人にはご祝儀のお年玉を配る。従業員にとっては賃金値上げの嬉しい時期になる。日本と同様、新札で渡すのが礼儀なので、ノウルーズ前は紙幣の交換を求める人々で、銀行も混み合う。

最終日には屋外でピクニック

ノウルーズの最終日に当たる13日目には、家の中の悪いものを追い出すために、家族全員が戸外に出てピクニックなどを楽しむ習慣があり、「自然の日」といって国民の祭日となっている。もともとピクニックの大好きな国民なのだが、この自然の日には街中が大渋滞になり、郊外に出るのを諦めた人が高速道路の高架下でマットを敷いて飲み食いする姿も多く見る。

イラン人にとって、とにかくノウルーズは1年で最大のお祭りだ。アッラーの神を信じて疑わない一方、かなり迷信深くもあるイラン人のお祭りは、見ていてとても興味深い。新年を新しい生活用品で迎えようとするところは日本と同じで、バザールはますます活気に満ちる。外国人にとってはとっくに3月になっているのだが、一緒にわくわくしてしまうのだ。

著者紹介

千葉 裕子(Chiba, Yuko)

神戸大学教育学部卒、カリフォルニア大学言語学修士課程修了。結婚後、北京、ジュネーブ、東京、ワシントン生活を経て、2013年冬よりテヘラン在住。



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