トレイルとマラソンのススメ 丹羽 麻里乃(Niwa, Marino) - WJWN(Washington Japanese Women's Network)

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ワシントンと私

トレイルとマラソンのススメ:VIEWS 2018年夏号(第54号)掲載

丹羽 麻里乃(Niwa, Marino)

ポトマック川沿いに延びるマウント・バーノン・トレイル
ポトマック川沿いに延びるマウント・バーノン・トレイル

近所に気持ちよく走れるトレイルがある、と渡米前から夫に聞いていた。日本の公園にあるような、長くても3キロ程度のランニングコースだろう。そう想像していたトレイルは、実際足を踏み入れると「公園」の規模をはるかに超え、緑に囲まれた小道が隣町まで続くものだった。近所以外にも少し車を走らせれば、さまざまな景色を楽しめるトレイルにすっかりはまってしまった。

川沿いも空港沿いも

体力作りに、と最初に走り始めたのは、バージニア州アーリントン郡にあるブルーモント・ジャンクション・トレイル(Bluemont Junction Trail)。自宅から徒歩5分ほどで入り込めるここは、散歩する親子連れやジョギングを楽しむ人々で賑わう。見慣れない木々や花々、追いかけっこするリスたち、広い空。日本で仕事に追われ、運動習慣などなかった生活の中で道の草木や空の青さに足を止めることがあっただろうか。そんな心のゆとりを抱いている自分の変化に嬉しくなったりもした。

お気に入りは、ポトマック川のバージニア州側を南北に延びるマウント・バーノン・トレイル(Mount Vernon Trail)。  川のすぐ脇を走る気持ちよさに加え視界も開けているので、向こうの橋の下まで走ろう、などと目標設定しやすい。 ロナルド・レーガン空港に隣接するスポットもあり、目の前で離陸した飛行機のお腹を、ついつい立ち止まって子どものように見上げてしまう。

マラソン大会への挑戦

トレイルを楽しめるようになり、短距離のマラソン・イベントがないかと思いついたのが昨年末。実は10年ほど前、沖縄で練習ほぼゼロで初めてフルマラソンに参加した。結果は中間地点でリタイア。傷めた右ひざのため整形外科通いという苦い経験がある。それ以降、マラソンに臆病になっていた。

調べてみると1マイル、5キロ、10キロ、フルマラソンと参加しやすそうなイベントがたくさんあった。まずは参加することに意義がある、と自分に言い聞かせてエントリーしたのが、ワシントン記念塔の横を発着点とする12月のレース、ジングル・オール・ザ・ウェイ(Jingle All  the Way)。ジムで練習や筋トレを重ね、わずか5kmながら完走を目標に緊張して臨んだ当日、現地の雰囲気に拍子抜けした。サンタさんやトナカイ、プレゼントの箱。思い思いの格好に扮したランナーたちで、スタート地点はまるでお祭りのよう。ベビーカーを押した家族、参加者の飼い犬に囲まれ楽しく完走した私は早くも次のレースを探していた。

前日の初雪が残る中、ジングル・オール・ザ・ウェイでゴールする筆者(中央)
前日の初雪が残る中、ジングル・オール・ザ・ウェイでゴールする筆者(中央)

次に選んだのはネーミングからして楽しそうなロックンロール(Rock'n'Roll)マラソン。こちらはDC アーモリー(Armory)前から出発。文字通りコースのあちらこちらでロックバンドの生演奏が背中を後押ししてくれた。そして、ゴール地点では応援が最高に盛り上がった。ゴール後はビールの無料配布(要ID)のご褒美もあるのがうれしい。

ロックンロール・マラソン完走メダル
ロックンロール・マラソン完走メダル

そして5月。米最高裁判所裏手の住宅街を走るキャピトル・ヒル・クラシック(Capitol Hill Classic)は、10kmと3km、そして、子どもたち向けの数百メートルの3コースが用意されていた。30℃近い暑さに体力を奪われ、いつもより短い3kmながら最も疲労困憊したレースとなった。

DC中心地でのランニング

モール周辺や街中を走る人々を頻繁に見かけるたび、アメリカの首都中心部を走るとはどんな気分だろうかと密かに気になっていた。決行は夫に弁当を届けた後の平日の午後。ホワイトハウス前から西に向かって、地下鉄駅フォギー・ボトム(Foggy Bottom)までを走ってみた。要人が乗ったと思われる車列がサイレンを鳴らしながら通り過ぎる。パトロール中の警官やパトカーも多い。時折信号に止められるものの、歩道は広くて走りやすい。日本に比べ車道との段差が緩やかだ。

アメリカ生活が初めての私にとってはどれもこれも新鮮で、開放感あふれるトレイルに出会うたび、きっと広大な国土があるからだ…と、ふと羨ましくなる。日本に戻ったら一体どこを走ろう、公園の近くに住むのがいいかな…。トレイルや歩道の恋しさを想像して今から寂しさを感じたりしている。

著者紹介

丹羽 麻里乃(Niwa, Marino)

沖縄県出身。2016年まで沖縄と東京で新聞記者として勤務。同年秋から在米。



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