応援したい、日本語を学ぶアメリカの高校生 Stoker Aki(Stoker, Aki) - WJWN(Washington Japanese Women's Network)

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応援したい、日本語を学ぶアメリカの高校生:VIEWS 2019年冬号(第56号)掲載

Stoker Aki(Stoker, Aki)

授業で書いた習字をみせるマリアさん
授業で書いた習字をみせるマリアさん

自分にできることって?

米国での生活も17年になりました。先日、こちらに来たばかりの頃のメールやノートの整理をしていて、ビザや就職活動など先の見えない状況にもかかわらず、新鮮な気持ちで異国での暮らしに慣れようと努力していた昔の自分に再会して懐かしくなりました。そして家族を得て、この地に根付いて生きていくことになった今に感慨を覚えました。

最近考えるのは、この国で暮らす日本人として社会にどんな恩返しができるのかということです(といってもフルタイムで働きながら4歳の暴れん坊を育てているので、そんな考えが時々頭をかすめる程度ですが)。振り返ると数えきれないほど多くの人の善意に恵まれてきました。たまたま昨年、バージニア州アーリントン郡教育委員会の日本語講座閉鎖計画に抗議して、方針を覆させた高校生たちに出会いました。将来役に立ちそうなスペイン語や中国語ではなく、奇特にも日本語・日本文化を学びたいと一生懸命に訴えるアメリカ人の若者たちに心を打たれました。そして日本のことが好きなアメリカ人を増やすことなら、ささやかながらも自分にもできることかもしれないと考えるようになりました。

日本研修を夢みるマリアさん

今回、メリーランド州ペイントブランチ高校で日本語を教えている高橋美樹子さんから、生徒たちをこの夏、2週間の予定で日本へ研修旅行に連れ行くことを計画していると伺いました。東京や京都を訪ねるほか、1週間ホームステイしながら高校に通い、日本の一般家庭の暮らしを体験したり、日本の高校生と交流したりするそうです。ペイントブランチ高校はマイノリティーの生徒が多く、必ずしも経済的に余裕のある家庭ばかりではありませんが、ぜひ行きたいと9人の生徒が手を挙げているとのこと。その一人マリアさんに話を聞きました。

マリアさんは15歳で高校1年生。5歳頃からテレビで観た『ドランゴンボール』に夢中になり、その中に登場するラーメンやすしにも興味を持ち、食べてみるとこれもまた大好物に。当時はこのアニメも食べ物も日本から来たとは知りませんでしたが、そのことを知ると日本に強く関心を持つようになったとのことです。「アニメの中の街並みや、人々の会話、音楽などに魅かれ、いつか言葉を勉強して訪ねてみたい」と願うようになりました。中学校では日本語クラスはありませんでしたが、高校に入学するとすぐに美樹子さんのクラスを受講。「ひらがなとカタカナは思ったより簡単だったけど、文章を理解するのはまだまだ難しい」そうです。

マリアさんは7歳のときに父親を亡くし、シングルマザーとなった母親と弟、認知症を患う祖母と4人暮らし。母親は父親が亡くなってから鬱を患って、しばらく働くことができなかったそうです。「叔母の助けがなければホームレスになっていたかもしれない」とマリアさん。子どもたちの支えで、母親はなんとか回復し、今は祖母の介護をしながら働いているものの生活は楽ではなく、家族や経済面でマリアさんはたくさんの不安を抱えています。日本語やサッカーなど好きなことに集中して「なるべく心配しないようにしている」そうです。

日本研修旅行の話を聞き、マリアさんは「夢が叶う」と舞い上がりました。でも旅費負担を考えると母親は許してくれないだろうと半分あきらめていました。ところが母親は「あなたがずっと行ってみたいと言っていた日本に行ける機会だから、できるだけやってみましょう」と言ってくれたそうです。そこで現在、奨学金に応募したり、GoFundMeを通じて親類や知人に支援を呼び掛けたりと奮闘中です。

日本に行けたら「東京や田舎などいろいろな景色をみてみたい。それからいろいろな食べ物も試してみたい。ホームステイで日本の家族の暮らしを知りたい」とマリアさん。マリアさんの当面の目標は高校で日本語を学び続け、流暢に話せるようになること。現在は軍関係の学校への進学を考えており、在日米軍基地に駐留したいそうです。「世界を旅して、違う文化の人々と交流し、違う暮らし方があるということを理解したい」。将来的には大学で日本語と心理学を学ぶのが夢だそうです。

小さな種まいてみませんか

日本語を学ぶメリーランド州ペイントブランチ高校の生徒たち
日本語を学ぶメリーランド州ペイントブランチ高校の生徒たち

美樹子さんによると、日本研修がきっかけとなり、大学で日本語を専攻するほど学習意欲を持つようになる生徒もいますが、そこまで行かなくても、参加した生徒の大部分は日本語学習を続け、その後の人生の中でも何らかの日本とのかかわりを持ち続けてくれるとのこと。なにより「フワフワと軸が定まらないようにみえた生徒が、旅を通じて自信を得て、物事に集中できるようになるなど大きく成長する」のだそうです。旅費は一人約4000ドル。奨学金を得ても、マリアさんを含め数人の生徒にとっては,まだ手が届かない金額です。誰もが「日米の懸け橋」になる訳ではありませんが、いつかどこかで日本を好きだと思ってくれる普通のアメリカ人の友情が何かを動かす日もあるかもしれません。そのための小さな種をまいてもいいと思われたら
GOFUNDMEのこちらのページを訪ねて、生徒たちを応援いただけたら嬉しいです。

著者紹介

Stoker Aki(Stoker, Aki)

メリーランド州在住。翻訳、記者などの仕事を転々と。家族はアメリカ人の夫と息子と猫1匹。



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